*房の色

 特に決まりはありませんので、お客様のお好みの色でかまいません。。ただ、慣習の中で女性用は、20才〜30代、40代〜50代、それ以上の方とおおよそですが色分けをされる方もおられます。最近は灰桜色という中間色があり、年齢を問わない色もあります。個性で若い方でも地味な色合いを持たれる方もおられますが、それも問題ありません。

*念珠の手入れ方法

 手入れの方法として特に必要はないのですが、赤い高級サンゴ(血赤・古渡りサンゴ)、瑠璃、孔雀石等に限っては汗に弱く変色する場合がありますので、汗のついた手で使用された後は乾いた布で軽く拭き取って下さい。他の商品は桐箱に保管されるか念珠袋に入れて保管して下さい。

*念珠の素材

 念珠の素材には多種多様のものがあります。初めて念珠を購入されるお客様に「どのような素材の念珠を持てばいいですか?」と質問されることがあります。そういった時、このような数珠がよくお買い求めになられます。」とお答えすることはできるのですが、この素材のものが念珠には良いのです、とは言い切れないものがあります。


*主な珠の種類

・真珠
   約4000年もの昔より宝玉として珍重され、日本では古事記や万葉集等にもその記述を見ることができます。

珊瑚
  古来より宝石とされてきたものは、深海から採取される珊瑚のことであり、いわゆる「サンゴ礁」の珊瑚とは異なります。深海珊瑚はミッドウェー海域の水深約1000mの海底に生息している動物です。その成長は、大変遅く、わずか数cm成長するのに何十年を要するものもあるといわれています。一般的に色の濃いものが好まれる傾向にあり、また希少性の高さから高価になります。もっとも貴重な品種は、世界中でも高知県土佐沖でしか採取されない「血赤珊瑚」という、まさに血のような農赤色をした種類です。

・石榴石(ガーネット
  ダイヤモンドと同じ様な高湿、高圧という環境下で形成されることから、ダイヤモンドとガーネットは一緒に見つかることもあるそうです。12面体から24面体に結晶し、整った形状を持つことから、光の屈折率に優れた鉱物です。古来よりその美しさから世界中の王侯貴族より宝飾品として愛されてきました。

・紫水晶(ローズアメジスト)
  紫水晶の中でも明るく、かつ淡い色合いの紫水晶です。その美しい藤色は、透明度が高く、曇りがないのが特徴です。

・琥珀
  琥珀とは、木の樹脂が長い年月をかけて固化した宝石です。元となる樹木の、広葉樹や針葉樹による種類の違いや、時代や産地といった要因によって色や透明度が異なります。黄色系のものが多く流通していますが、白や青など、実際には多数の色が存在するといわれています。

・虎琥珀
  中国撫順(ぶじゅん)地方から産出する琥珀です。その特徴は黒や赤などの色が入り交じり、多様な模様を作り出していることにあります。それは化石化する課程で植物の葉や石炭などの異物が混入してできたものだろうといわれていれ、琥珀の中でも大変希少価値が高い商品です。

瑠璃(ラピスラズリ)
  世界でも限られた地方でした産出されない宝石です。ラズライト(青金石)、ソーダライトなどの複数の鉱物により構成され、深い青色は夜空をイメージさせます。特徴的な黄色い斑点は、バイライト(黄鉄鉱)という鉱物を含むためで、まるで夜空を彩る星のような輝きを演出しています。日本では昔から瑠璃として知られ、天皇を始め上流階級のごく一部がわずかに所有するのみでした。

・瑪瑙(アゲート)
  七宝の一つに数えられている。 *七宝=金・銀・瑠璃・は璃・シャコ・珊瑚・瑪瑙

・赤苔瑪瑙(モスアゲート
  瑪瑙の仲間で、その中に深い濃色のインクルージョン(内包物)を含むものです。

・縞瑪瑙
  平行な縞状模様があるものを縞瑪瑙といいます。蛋白石質と石英質の部分が交互に配列するため縞状に見え、黒色と白色が綺麗に層状になっているものは、古くからカメオ細工の材料となっています。

・虎眼石
  虎眼石は、表面に虎の瞳のような輝きが見られることからその名が付けられました。この現象はシャトヤンシー効果と呼ばれ、結晶内部に平行に配列された繊維状組織からの光の反射によるものです。繊維状組織であるクロシドライトという鉱石の本来の色は青色であり、これを紺虎眼石といいます。一般に虎眼石といわれているものは、それが酸化することで青色から黄色に変色したものです。そして、加熱処理を加えさらに酸化を進めることで赤色に変色したものを赤虎眼石と呼んでいます。

・孔雀石(マラカイト)
   鉱物中に銅の成分を多く含むため、鮮やかな緑色を発すること、またカットした時に表れる独特の縞模様が大きな特徴です。孔雀石という和名は、石の模様が孔雀の羽模様に似ていたことに由来してます。

・金線水晶(ルチル・クォーツ)
  金色の線上の物質は、ルチル(金紅石)と呼ばれる酸化チタンの一種で、それを内包している水晶です。本来、水晶は自然環境下においてその内部に様々な物質を含むことが多く、たとえばトルマリンを含めばトルマリン・クォーツとなりますが、その中でも最も有名なものが、この金線水晶といえるでしょう。

・象牙
   象牙は近年、その価値の高さから乱獲や密漁が続き、ワシントン条約によって国際間取引の禁止措置が執られており、非常に希少な材料となっています。現在では、厳重な規制や保護によって個体数は次第に増加の傾向にあり、こうした背景を受けて厳格な管理の下で限定的な輸出解禁が行われています。
 象牙には、独特の肌触りと風合い、また象牙だけが持つ美しい縞模様といった特徴があり、また工芸品への加工に適した密度や高度を持つことから古来より世界中で珍重されてきました。

・沈香
  沈香は、インド・東南アジア地方に分布する沈丁花(じんちょうげ)科アキラリア属の樹木からとれる香木です。しかし香木になる原木自体には香りはありません。原木は風雨や害虫等の様々な要因によりダメージを受けると、内部に樹脂を分泌しそれ以上の腐敗を食い止めようとします。そうして樹脂が長い年月をかけて蓄積されることで、ようやく沈香となるのです。その香りは産地や時代によって複雑に異なります。産出量は減少しており、年々価値が高まっています。

・羅漢彫
   乾燥させた桃の実にお釈迦様の弟子である、羅漢を彫ったものです。羅漢は、釈迦入滅後の仏教を指導し、教えを広めるために人力を尽くした高僧です。釈迦の高弟である16人の羅漢は十六羅漢、入滅後の仏典の結集に集まった500人の弟子は五百羅漢と呼ばれています。後世になり、信仰の対象となると、多くの像が作成されました。一つの玉の中に4〜7人ほどの羅漢像を彫り込んでおり、彫りが細かく、精密なほど高価になります。

・虎眼・龍眼・鳳眼菩提樹
  菩提樹の実。龍眼・虎眼は四つ葉のクローバーの様に鳳眼の変種としてできたものです。それぞれ、紡錘形は鳳凰の目に、三角形は龍の目に、四角形は虎の目のように見えることから名付けられました。
 虎眼>龍眼>鳳眼の順に高価になります。

・金剛菩提樹
  金剛菩提樹はホルトノキ科のジュズボダイジュといわれる樹木で、その種子はインドではルドラクシャと呼ばれ、大切にされています。それは、ヒンズー教の三最高神の一神である、シヴァに由来されるそうです。そのため、現在でも僧侶を始め、多くの一般人もその力を信じて身に着けています。
 また、通常、商業的に用いられる鉱物や種子などは、小さい方が安価な場合が多いのですが、この金剛菩提樹は男性用の片手に用いる大きさが一番多くとれるため、ブレスなどの小さな玉にする場合、逆に高価になるという特徴があります。

星月菩提樹
  金剛菩提樹と並んでもっとも有名な菩提樹の実です。黒い小さな斑点が星を、クレーターのようにへこんだ部分が月を連想させるところから「星月」と名付けられました。この玉は、使い込むほど飴色になり、風合いが増していきます。

・素焼きとは
  木玉は、仕上げの行程で塗布する仕上剤(ワックスやヤニ等)によって、通常のツヤ出し仕上げと、ツヤ消し仕上げ(素挽き仕上げ)に分けられます。素挽き仕上げは通常のツヤ出し仕上げに比べ、質感や木目を残すことができるため、その木が持つ風合いをより自然を感じることができます。しかしその分、品質的にごまかしがきかないため、歩留まりが悪くなり、やや高価になります。

念珠の話